BtoBデジタルマーケティング施策で成果を上げる4つのアプローチ

BtoBデジタルマーケティング施策で成果を上げる4つのアプローチ

デジタルマーケティングに取り組む担当者から、こんな声をよく耳にします。
「何から手をつければいいかわからない」「毎月の施策テーマを考えるだけで時間が溶けていく」「気づけば同じ施策の繰り返しになっている」——。
打ち手の選択肢は無数にあるにもかかわらず、何をどの順番で実行すべきかの「全体像」が見えていないために、こうした迷いが生まれます。
本コラムでは、デジタルマーケティングの成果を継続的に上げていくための基本アプローチを4つのステップに整理して解説します。闇雲に施策を積み上げるのではなく、「いま何をすべきか」を論理的に判断するための思考フレームとして活用してください。

デジタルマーケティング施策に迷う理由

施策の選択肢が増えるほど、判断は難しくなります。
SEO、リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS、メール配信、ウェビナー、コンテンツマーケティング……それぞれに有効な場面があり、それぞれの専門家が「これが重要だ」と主張します。
しかし実際の現場では、リソースは限られています。
すべての施策を同時並行で進めることはできませんし、予算や人員の制約の中で優先順位をつけなければなりません。
個々の施策論の前に、「成果を生み出す構造」を理解した上で施策を設計することが不可欠な理由はここにあります。

成果向上のための基本アプローチは、以下の4つのステップで構成されます。

STEP1:明らかな水漏れ箇所を見つけて防ぐ(目安:開始〜6ヶ月)
STEP2:「傾斜」を見つけ、「テコの原理」を働かせる(目安:開始後半年〜2年)
STEP3:理想を描き、理想に向けて動く(目安:開始後3〜4年)
STEP4:ターゲットと商材の新しい組み合わせを検討する

それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。

STEP1:明らかな水漏れ箇所を見つけて防ぐ

「水漏れ」とは何か

デジタルマーケティングにおける「水漏れ」とは、本来獲得できるはずの集客やCVが、明らかな問題によって失われている状態のことです。
穴の開いたバケツに水をいくら注ぎ続けても、バケツはいつまでも満たされません。
新たな施策を積み上げる前に、まずこの「穴」を塞ぐことが最優先となります。
代表的な水漏れ箇所としては、以下が挙げられます。

集客面の水漏れ

・キーワード設計とページタイトルの不一致(検索意図とのズレ)
・費用対効果の低い広告出稿(無駄なキーワードへの予算投下)

コンバージョン面の水漏れ

・訴求力の弱いファーストビュー(離脱を招くトップ画面)
・強みの表現不足・証拠の不在(なぜこの会社を選ぶべきかが伝わらない)
・回遊導線・CV導線の不在(次のアクションへ誘導できていない)
・ゴールアクションの不足(問い合わせ・資料DL等の選択肢が少ない)

こうした問題点は、多くの場合サイト内のあらゆる場所に大量に潜んでいます。すべてを網羅的に改善するには、最低でも半年程度の期間を見込んでおくのが現実的です。

水漏れを発見するための視点

水漏れを見つけるには、データを「結果指標」としてではなく「現象の観察」として読む姿勢が求められます。以下のような切り口でデータを分析することで、水漏れ箇所が浮かび上がってきます。

・集客につながっているページ・キーワード・媒体はどこか
・CVにつながっているページ・キーワード・媒体はどこか
・CVしたユーザーが閲覧しているページはどこか
・フォーム流入直前のページはどこか
・CVにつながっている商品・ターゲット・メッセージ・地域はどこか

優先順位のつけ方

水漏れ箇所が複数見つかった場合には、以下の優先順位で対処することをお勧めします。

1. より水漏れが大きい箇所(何も手が打てていない箇所)
2. より母数が大きい箇所(影響範囲が広い箇所)
3. より短期間で成果が出ると思われる箇所

特に最初のSTEPで意識したいのが、「クイックウィン(早期の小さな成果)」を確実に出すことです。
社内からの評価を勝ち取るためには、目に見える改善を短期間で実現することが何より重要になります。
地味に見える水漏れ修正ですが、即効性が高く、信頼構築の観点からも最初に取り組む施策として最適です。

STEP2:「傾斜」を見つけ、「テコの原理」を働かせる

パレートの法則とデジタルマーケティング

「20:80の法則」とも呼ばれるパレートの法則は、デジタルマーケティングにおいても強力な示唆を持ちます。
全体の成果の大部分は、一部の施策・ページ・キーワード・ターゲットによって生み出されているケースがほとんどです。
重要なのは、この「傾斜(偏り)」を見つけ出すことです。成果が完全に均等に分布しているケースはほとんどなく、必ずどこかに「他と比べて突出して成果を生んでいる箇所」が存在します。
すべてが最適化されて傾斜がなくなった状態が「これ以上成果が出ない」限界点ですが、現実には傾斜は無数に隠れています。

「傾斜」はあらゆるところに隠れている

傾斜は、さまざまな切り口で観察できます。

・流入キーワードの傾斜(一部のキーワードが集客の大半を占めていないか)
・ページ別のCV傾斜(特定のページが圧倒的にCVを生んでいないか)
・媒体別の傾斜(特定の広告媒体が費用対効果で突出していないか)
・商材別の傾斜(一部の商材・サービスに資料請求が集中していないか)
・ターゲット別の傾斜(特定の業種・規模の企業からの問い合わせが多くないか)

フォーム流入直前のページ、CVにつながりやすい特定の商品・ターゲット・メッセージ・地域など、傾斜の在り処は探せば探すほど出てきます。

「テコの原理」を働かせる

傾斜を発見したら、次は「テコの原理」を働かせます。つまり、成果が出ている箇所に対して、極端なほどリソースを集中投下するという発想です。

ここで一つ心得ておきたいのが、マーケティング施策の打率は「3割程度」だということです。3回打って1回当たれば良い、という前提に立ち、複数の施策を並行して展開することが基本姿勢になります。そして「うまくいく確率が高い」と判断した箇所については、中途半端にやらず、徹底的に「極端に」実行することが成功への近道です。

STEP3:理想を描き、理想に向けて動く

「現状の改善」だけでは限界がある

STEP1で水漏れを塞ぎ、STEP2で大きな傾斜がならされてくると、やがて「改善の余地が少なくなってきた」と感じる段階が訪れます。現状の延長線上での最適化には、必ず上限があるためです。

このとき必要になるのが、「理想の状態」を先に描き、そこに向けて逆算で施策を設計するという発想の転換です。

マーケティング施策の「理想的状態」とは

STEP3では、ターゲット顧客の購買プロセスを軸に置いたマトリックスを活用します。
横軸に顧客の認知フェーズ(潜在客・課題客・顕在客)、縦軸にマーケティング活動(Reach:集客、Contents:コンテンツ、Engagement:関係強化、Goal Action:CV獲得)を配置した12マスの構造です。

・潜在客:まだ自社の課題に明確に気づいていない層
・課題客:課題は認識しているが、具体的な解決策を探していない層
・顕在客:具体的な解決策を積極的に検討している層

この12マスすべてに対して施策が実行されている状態が「理想」です。

実際には、顕在客向けのリスティング広告や潜在客向けのコラムは熱心に実施していても、課題客向けのコンテンツが抜け落ちていたり、顕在客へのエンゲージメント施策が手薄だったりするケースが頻繁に起こります。
STEP1・2はあくまでも「マイナスを埋める」「効率の良い部分を伸ばす」アプローチであり、網羅性を担保するものではありません。
STEP3では、このマトリックスに現在の施策をマッピングし、空白箇所や弱い箇所を洗い出した上で、一つ一つ埋めていく作業を進めます。

STEP1・STEP2との往復が重要

STEP3で新たな施策を実行すると、そこには再び「水漏れ」や「傾斜」が発生します。理想のマトリックスを埋めながらも、STEP1・STEP2の視点に戻って定期的に点検することを繰り返すことが、継続的な成果向上につながります。

STEP4:ターゲットと商材の新しい組み合わせを検討する

マトリックスは無限に増殖する

STEP3のマトリックスが概ね埋まってきた段階でも、やるべきことがなくなるわけではありません。STEP3で作成した12マスは、特定の「ターゲット」と特定の「商材」の組み合わせに対して存在するものだからです。
例えば、ターゲットを新たに設定した瞬間、先ほどまで埋まっていたと思っていたマトリックスは白紙に戻ります。
「新たなターゲット業界向けの潜在客対策はできているか?」「課題客向けコンテンツはあるか?」と問い直すと、ほとんど実施できていないことに気づくはずです。

ターゲットの広げ方

ターゲットの切り口は、思っている以上に多様です。

・特定のキーワードで流入するユーザー層
・特定の業種・業態(例:製造業、小売業)
・企業規模(例:エンタープライズ)
・エリア(例:関東圏の中小企業)
・役職・部署(例:役員層、マーケティング担当者)

どのターゲットを優先するかは、営業活動の現状や受注実績なども踏まえながら、社内関係者と議論して決めることが重要です。

商材の組み合わせを広げる

商材についても、単品での提供にとどまらずさまざまなバリエーションを検討できます。

・商材A・商材B・商材Cの単品展開
・複数商材の組み合わせ(例:商材AとCを組み合わせた〇〇ソリューション)
・無料トライアルやデモ体験を一つの「商材」として設計する

単価が高い商材や検討期間が長い商材であれば、「試しやすい入り口」を用意することで検討ハードルを下げ、CVを獲得しやすくなります。ターゲットと商材の新しい組み合わせを一つ設定するたびに、新しい12マスのマトリックスが誕生します。極論すれば、このマトリックスは100枚、200枚と際限なく増えていきます。マーケティングとは、この無数のマトリックスを丁寧に一つずつ埋めていく、地道な積み重ねの作業です。

持続的な成果向上のためのサイクル

4つのステップの関係を改めて整理すると、次のような構造になります。

STEP1(水漏れを塞ぐ)は、既存の仕組みの欠陥を修正する「守りの施策」です。早期に成果を出して信頼と土台を築くフェーズでもあります。
STEP2(傾斜にテコを働かせる) は、成功している要素を見極めてリソースを集中する「攻めの施策」です。打率3割を前提に、複数施策を並行展開します。
STEP3(理想を描く)は、現状の改善から「未来の設計」へと視点を切り替えるフェーズです。12マスのマトリックスを埋めることで、施策の網羅性を高めていきます。
STEP4(新しい組み合わせを探索する)は、既存の枠を超えた成長を目指すフェーズです。ターゲットと商材の組み合わせを広げることで、獲得リードの質を高めていきます。

これらは一方通行で進めて終わりではなく、STEP3やSTEP4を実行するたびに、新たな水漏れや傾斜が生まれ、STEP1・STEP2に戻るタスクが再発生します。「水漏れを防ぐ」「傾斜をならす」「理想の網羅性を持たせる」「ターゲットと商材を細分化する」——このサイクルをひたすら繰り返すことが、長期的な成果創出の唯一の道といえます。
「何から手をつければいいかわからない」と感じたとき、まずは自社の現状がどのステップにあるのかを確認することから始めてみてください。そこから次に打つべき一手が、自然と見えてくるはずです。

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