BtoBのためのSEO対策~BtoCとの違い、進め方、成功事例
デジタルマーケティングの打ち手の1つにSEO対策がありますが、SEO対策を実施するにはコンテンツを追加していくことが必要になることが多く、大きな労力がかかります。また、労力だけでなく、検索エンジンの評価を得るためには、早くても数ヶ月、場合によっては数年の期間が必要になることもあります。
手間も時間もかかるSEO対策ですが、なぜBtoBデジタルマーケティングにおいて、SEO対策を実施した方が良いのか、当社の支援事例も踏まえてご説明したいと思います。
目次
BtoBデジタルマーケティングにおけるSEOの重要性
以下は、弊社が実施した「BtoB購買行動調査結果」での、取引業者選定の際に第一候補企業はどの様な特徴があるかアンケート調査したものです。
1位は既に取引実績が有る企業
2位は情報収集・課題形成時に参考になった企業
3位に知名度が高い企業
となっています。
BtoCと異なり、BtoBの購買行動は、万が一失敗すると組織への影響があるだけでなく、担当者自身の評価にもつながることから、「既に取引実績がある企業」を第一候補とすることが多いのは当然と言えますが、第2位は「情報収集・課題形成時に参考になった企業」となっています。
つまり新規開拓を進めるためには、見込客の「情報収集・課題形成」段階で接点を持つ必要があります。今は、BtoB企業も情報収集を「検索」で行うことが多く、また、このタイミングではまだ商品・サービスには興味がないため、広告をクリックすることもありませんので、SEO対策が重要なリーチ手段になります。
実際に、デジタルマーケティングで成果が出ている弊社クライアントのWebサイトの流入元を見ると、自然検索集客が非常に強い傾向があります。
事例1、事例2のクライアントは年間1,000万円以上の広告費、事例3のクライアントは年間3,500万円程度の広告費をかけていますが、最も多いCV経路は自然検索流入となっています。
SEO対策で成果創出を実現した事例
BtoBデジタルマーケティングにおけるSEOの重要性は前述の通りですが、ここでは更に、SEOによって大きな成果創出を実現した事例を具体的にご紹介したいと思います。
事例①ターゲットキーワードのSEO対策で成果10倍。月250件の成果創出を実現。
A社様は、印刷物の企画から制作に至るまでの一連のサービスを提供していましたが、A社様の業界は歴史が長く、既に確立されたプレイヤーによって市場が占められていました。
そのため、見込客が発注先選定をする際には、従来から取引実績のある会社に相談する傾向が強く、新規顧客の開拓が困難な状況に直面していました。
上記の様な業界特性から、見込客が「印刷会社」を検討する段階で接点を持っても、既存の取引先の相見積先にしかならず、商談や売上には結びつきづらいのではないかと仮説立てました。
そこで、見込み客が印刷会社の比較・検討に至る前段階の企業活動を明確化し、その前工程から見込み客と接点を持てるようコンテンツ設計とSEO対策を実施しました。
上記の様な取り組みを行い、見込客と前工程で接点を持てるようなコンテンツ制作とSEO対策を集中的に行った結果、ご支援開始から約1年半でリード獲得約10倍、月250件以上の成果を出すことが出来ました。
事例②支援開始から1年以内で月100件の成果創出
戦略コンサルティング企業様のB社様は、リスティング広告を出稿していたものの、期待した成果が得られず悩まれていました。
コンサルティングサービスの様に、経営マターの商材は、リスティング広告の様な刈り取り型のマーケティング手法とは相性が悪いのではないかという仮説の元、SEO対策に注力しました。
SEO対策を進めていくものの、中々Googleからの評価が得られず、このままSEO対策を続けるかどうするか検討フェーズに入りかけていたところ、コンテンツ数が一定ラインを越えたことでSEO評価が急激に高まり、ターゲットとしていたキーワードのSEO順位が2~3位まで急上昇しました。
SEO順位が上がった結果、見込客の集客増につながり、自然検索流入からの成果も月100件を越える結果となりました。
事例③SEO順位向上により、リスティング広告のパフォーマンスも向上
SEOは、時としてリスティング広告のパフォーマンスを向上させることもあります。
以下はサイト内の自然検索流入と、リスティング広告のCPA推移を調査したものとなりますが、グラフの通り、自然検索流入が増えるに従って、リスティング広告のパフォーマンスが高まる結果となりました。
BtoB購買行動の場合、見込客は発注先を慎重に選定するため、初期接点からゴールアクションに至るまで、BtoCとは異なり何度もサイトに訪れる傾向があります。
広告をクリックしたそのタイミングではCVに至らないものの、複数のターゲットキーワードで常に上位表示されている状況を創り出せたことで、見込み客との接点が強化され、CVチャンスが増加、その結果広告クリックユーザーがCVに至ることが増え、広告パフォーマンス向上につながる形になりました。
BtoB企業のSEO対策の進め方
さて、それではBtoB企業がSEO対策に取り組む際、どの様に進めることが最も成果につながりやすいのでしょうか。
弊社では、見込み客のニーズを、①潜在層、②準顕在層、③顕在層の3段階に分け、それぞれの検索活動を想定し、そのために必要なコンテンツを設計してSEO対策を実施していくことを推奨しています。
「潜在層」とは
日常業務をしている中で、自らの業務に関わる情報収集を行ったり、業務の中で発生した疑問や不明点などの解消を行ったりしている見込み客です。
この段階では、組織的な行動ではなく、あくまで個人の問題解決のために検索活動を行っていることがポイントです。
「準顕在層」とは
自身の担当領域における課題を認識し、その解決策を探している見込み客です。
「潜在層」は個人の情報収集・課題解決のための検索活動だったのに対し、「準顕在層」は、組織レベルでの活動に移行する段階で、組織内での問題提起、課題解決に向けて情報収集を行います。
組織課題の解決手段として、内製か、外注か検討を進め、外注が必要な場合は社内案件化のための情報収集を行い、社内案件化を図ります。
「顕在層」とは
社内案件化が通り、企業の正式な購買行動として複数社に声をかけて具体的に製品・サービスの比較を行っている見込み客です。
これらの見込み客には、製品・サービスの優位性訴求や差別化訴求が重要になってきます。
この様に、見込み客のニーズレベルごとに、検索活動を想定し、SEO対策を進めていきますが、SEO対策は
①Googleから評価を受けるまでに時間がかかる
②そもそもBtoB商材は、決裁者が複数にわたること、失敗が許されないため購買行動自体が慎重であるため、初期接点から成果につながるまで時間がかかる
という特徴があります。
そのため、早期で成果を出すためには、最も足が短いであろう顕在層を対象としたSEO対策を推奨していますが、商材特性や競合状況によっては潜在層からアプローチした方が成果が出やすいケースもあります。
もしSEO対策の優先順位でお悩みの場合は、貴社の商材特性や、SEO状況に応じて最適なご提案が出来ればと思いますので、お気軽にご相談いただければと思います。
BtoB VS BtoC SEO対策の考え方の違い
さて最後に押さえておきたいのがBtoBとBtoCのSEO対策の考え方・アプローチの違いです。
同じ「SEO対策」という手法にもかかわらず、BtoBとBtoCで考え方が異なる理由は、「検索回数」が大きく異なるためです。
BtoCの場合、月間検索回数が数万回、数十万回の対策キーワードが珍しくありませんが、BtoBの場合、組織行動としての検索活動になるため、成果が出るキーワードは限られており、且つ対象キーワードの月間検索回数も数十回~多くても数千回しかないケースがほとんどです。
そのため、SEO対策はBtoBならではの進め方・ポイントを押さえておく必要があり、今回は3つのポイントをお伝えしたいと思います。
①点ではなく、面で捉える
BtoBの検索キーワードの月間検索回数は非常に少ないことが多いため、BtoCのアプローチの様に、ある特定の1キーワードを●位以内に上げる、といった“点”の考え方ではなく、対象の対策キーワードは全て検索上位(できれば1~3位以内)に入れる、といった“面”の考え方が重要となってきます。
以下は、seoClarityが公開した2021年度の検索順位別のクリック率ですが、例えば、月間検索回数1,000回の対策キーワードが10位になったとしても10クリック、1位になったとしても約140クリックしか稼げない、という状態となり、これでは成果を出すために最低限必要な母数形成が出来ません。
検索順位別クリック率(2021年)
しかし、例えば月間検索回数1,000回の対策キーワード10個を全て2位以内に表示させれば約700クリック、20個全て2位以内に表示させれば1,400クリックとなります。
この様に検索回数が少ないBtoBのSEO対策は、複数・大量のキーワードを上位表示させていく“面”のアプローチが重要な取組みとなります。
②圏外キーワードではなく評価キーワードから対策
BtoBのSEOのポイントは、とにかくSEO順位を向上させてクリック率を高め、母数を確保することです。
そのため、BtoBでSEO対策を行う場合は、「圏外」キーワードからアプローチするのではなく、既にGoogleから評価を受けているキーワードからアプローチしていくことを推奨しています。
何故上記の様なアプローチを推奨しているのか具体例でお伝えすると、例えば、月間検索回数1,000回の「圏外」にあるキーワードを検索結果1ページ目に労力と時間をかけて表示させたところで、10位であれば10クリックにしかなりません。
しかし既に10位にあるキーワードを1位に引き上げれば、10クリック→約140クリックと130クリック増大させることができます。
また、すでに一定の評価を得ているキーワードですから、きちんと対策すれば、さらに順位が向上する可能性も高く、SEO難易度も低くなります。
圏外キーワードを10位まで向上させても10クリックしか増やせないことを考えますと、対策にかかる労力、得られる成果が全くことなることが明らかです。
この様に月間検索回数が少ないBtoBキーワードで最短で成果を上げていくためには、既にある程度Googleから評価を受けて検索上位に上がっているキーワードを1位でも高くなるようSEO対策をした方が、集客増、成果創出といった実績につながりやすいのです。
③検索上位キーワードの“落とし穴”、検索下位キーワードの“抜け穴”を見過ごさない
意外かもしれませんが、実は
・検索順位が高くてもクリック率が低いキーワード(以下左上)
・検索順位が低くてもクリック率が高いキーワード(以下右下)
があります。
左上のキーワードは、検索順位が高いもののクリック率が低い、つまり検索結果に表示されるタイトル・ディスクリプションが検索ニーズにマッチしていないため、クリックされていない可能性があります。
これらのキーワードは、既に検索上位に上がっているため、検索ニーズにマッチしたタイトル・ディスクリプションにするだけでクリック率が高まり、すぐに集客増につながる可能性があります。
逆に、右下のキーワードは、検索結果2ページ目に行ってでもユーザーが情報を収集している情報収集ニーズの高いキーワードのため、検索上位に上げるだけで更なる集客増が期待されます。
この様に対策キーワードに対して優先順位をつけてSEO対策を進めていくことで、最短距離で成果が出る体制が築けます。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、なぜBtoBデジタルマーケティングにおいてSEOが重要なのか、SEOはどれだけ成果に繋がるのか、BtoBならではのSEO対策の進め方についてご紹介しました。
もし、
・コンテンツは作っているものの中々SEO順位が上がらない
・SEO順位は上がっているが成果につながらない
・競合にSEO対策で大きく水を開けられている
などSEO関連でお困りでしたら、お気軽にご相談ください。
きっと貴社のお役に立つ事例や、SEO対策アプローチをご紹介できるかと思います。